2019年05月12日

「刀貴、話がある」  滝音鏡水が申し訳なさそうな顔をして、

"「刀貴、話がある」

 滝音鏡水が申し訳なさそうな顔をして、学校帰りの桐葉刀貴(きりはとうき)を呼び止めた。

「何だ? 昨夜のことか?」

「気づいていたのか、刀貴は」

 滝音鏡水は頭をは頭を掻きながら、刀貴に訊ねる。

「副島にバレた。軽く揺すられて野球部の応援しなきゃいけなくなったんだ」

 刀貴は静かに気にも留めない様子で、

「スポーツから学ぶことも多いだろう。特に野球という競技は静と動が組み込まれた競技ゆえ、我ら忍の修業としても役に立つんじゃないか? ただ、鏡水。伊香保にうつつを抜かして油断したのは情けない限りだ」

 そう告げて、刀貴は薄い笑みを浮かべて校門をくぐった。鏡水はそこまで知られてたかと顔を赤らめた。

「……伊香保のことはすまん。刀貴、お前がそう言ってくれるなら、野球やっても良いかと思える。……お前も一緒なら嬉しい。刀貴の気晴らしにもなるかもしれん。野球やらないか?」

 鏡水は刀貴の背中に向けて誘ったが、刀貴は後ろ姿のまま首を振った。

「俺は剣を極める」

 刀貴はそのまま校門を出て、右に折れ見えなくなった。
 そうか、そうだよな。鏡水はそう呟いた。"



Posted by beckywong at 23:13│Comments(0)
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