2023年04月30日
「きえーっ!」
「きえーっ!」
これでもかというほど、猿叫が響き渡る。
示現流の初太刀。
永倉は、いまだ「人斬り半次郎」と力比べをしていて、どうしようもできない。
「主計さんっ!」
鳶の声とともに、掌許に「之定」が飛んできた。
反射的に左の掌で鞘を掴み、右の掌で柄を掴んでそのまま引き抜く。
が、すでに敵の初太刀は、信託是什麼 信託好處 信託人 永倉の頭頂めがけて上段から振り下ろされている。
間に合わない。
「かっ!」
またしても、金属のぶつかり合う音。つづいて、火花が散る。
斎藤が「鬼神丸」を頭上にかざし、示現流の初太刀を受け止めている。
柄を握る右の掌だけでなく、左の掌を峰に添え、相手の渾身の一撃を、渾身の受け身でもって受け止めたのである。
「斎藤、すまない」
力比べをつづけながら、礼をいう永倉。「うおおおっ!」
「ちええええぃっ!」
永倉と斎藤は、気合とともにそれぞれの相手の刃をおしかえす。
さらに一人が、ダッシュしてくる。
すでに得物を抜いており、八双の構えでいっきに間を詰める。一足一刀の間合いに入ると、八双からするどい突きくりだす。
「させるかってんだよっ!」
そのまえにたちはだかる原田。相手の剣先に向け、愛槍をりゅうとしごく。 その鋭い一撃を、相手は飛び退って紙一重でかわす。
いまや、鳶や久吉、沢以外の全員が、得物を構えている。
副長でさえも。
おりよく、夜空をおおっていた雲がきれ、月があらわれた。満月ではないが、地に降りそそぐ月光は、はっきりと敵を、味方を、みせてくれる。
だれかが指示したわけではないが、おれたちはほっかむりを、敵は頭巾を脱ぎ捨てる。
やはり、「人斬り半次郎」・・・。
斎藤と向かい合っているのは、篠原。原田の相手は、村田・・・。
篠原は、細面のイケメンである。webの写真のまんまである。知的な目許が素敵だ。
あぁもちろんそれは、女性目線からいえば、の話である。
がつるっとしていることが、この夜の一番の驚きかも・・・。
webの写真では、これでもかというほど毛むくじゃらである。立派な八の字を描いた鼻髭、それから、「エルビス・プOスリー」もびっくりなほどのもみあげ・・・。
それらが、いっさいない。
一瞬、脳内で「プOスリー」のコスプレをさせてしまう。
なんてこった。クリソツじゃないか・・・。そっくりさん大会で、優勝するんじゃないか?
そういえば、村田は、明治期に岩倉使節団の一員として、アメリカにもいくんだった。
もちろん、そんなことはいま、この状況ではどうでもいいことである。「新撰組?」
篠原がつぶやく。
かれは、おれたちの恰好を面白いと思っていても、笑わなないだけのデリカシーはある。
もちろん、かれ以外の者も。
敵軍の金子を盗むよう命じられたこの集団は、手練れであるばかりか、空気をよめるらしい。
「荷車をいけんかしやんせ」
「プOスリー」が、荷車に一番ちかい数名に命じる。
くそっ!一度「プOスリー」と思ってしまうと、それ以外には考えられない。
あるある、かな?たぶん・・・。
三名が、得物を上段にふりかぶりつつ、沢に殺到する。
敵は、非戦闘員に照準をあてる。
間に合うわけもない。
「ひいいっ!」
沢は、両腕で自分の頭をかばいつつちいさくなっている。
三つの猿叫。
ここのご近所さんは、猿の集団が餌をもとめて山からやってきたと、勘違いするだろうか?
「ぐわっ」
「なんじゃ」
「ぎゃあ」
だが、示現流の初太刀は不発におわった。
ついにきました。この男!がみえもはん」
三人は、得物を落とすことはなかったものの、その場で腰を折り、咳やらくしゃみやらをしている。右の掌で、ごしごしと
「いったいなんか?」
「苦しか」
「
一方、村田の
これでもかというほど、猿叫が響き渡る。
示現流の初太刀。
永倉は、いまだ「人斬り半次郎」と力比べをしていて、どうしようもできない。
「主計さんっ!」
鳶の声とともに、掌許に「之定」が飛んできた。
反射的に左の掌で鞘を掴み、右の掌で柄を掴んでそのまま引き抜く。
が、すでに敵の初太刀は、信託是什麼 信託好處 信託人 永倉の頭頂めがけて上段から振り下ろされている。
間に合わない。
「かっ!」
またしても、金属のぶつかり合う音。つづいて、火花が散る。
斎藤が「鬼神丸」を頭上にかざし、示現流の初太刀を受け止めている。
柄を握る右の掌だけでなく、左の掌を峰に添え、相手の渾身の一撃を、渾身の受け身でもって受け止めたのである。
「斎藤、すまない」
力比べをつづけながら、礼をいう永倉。「うおおおっ!」
「ちええええぃっ!」
永倉と斎藤は、気合とともにそれぞれの相手の刃をおしかえす。
さらに一人が、ダッシュしてくる。
すでに得物を抜いており、八双の構えでいっきに間を詰める。一足一刀の間合いに入ると、八双からするどい突きくりだす。
「させるかってんだよっ!」
そのまえにたちはだかる原田。相手の剣先に向け、愛槍をりゅうとしごく。 その鋭い一撃を、相手は飛び退って紙一重でかわす。
いまや、鳶や久吉、沢以外の全員が、得物を構えている。
副長でさえも。
おりよく、夜空をおおっていた雲がきれ、月があらわれた。満月ではないが、地に降りそそぐ月光は、はっきりと敵を、味方を、みせてくれる。
だれかが指示したわけではないが、おれたちはほっかむりを、敵は頭巾を脱ぎ捨てる。
やはり、「人斬り半次郎」・・・。
斎藤と向かい合っているのは、篠原。原田の相手は、村田・・・。
篠原は、細面のイケメンである。webの写真のまんまである。知的な目許が素敵だ。
あぁもちろんそれは、女性目線からいえば、の話である。
がつるっとしていることが、この夜の一番の驚きかも・・・。
webの写真では、これでもかというほど毛むくじゃらである。立派な八の字を描いた鼻髭、それから、「エルビス・プOスリー」もびっくりなほどのもみあげ・・・。
それらが、いっさいない。
一瞬、脳内で「プOスリー」のコスプレをさせてしまう。
なんてこった。クリソツじゃないか・・・。そっくりさん大会で、優勝するんじゃないか?
そういえば、村田は、明治期に岩倉使節団の一員として、アメリカにもいくんだった。
もちろん、そんなことはいま、この状況ではどうでもいいことである。「新撰組?」
篠原がつぶやく。
かれは、おれたちの恰好を面白いと思っていても、笑わなないだけのデリカシーはある。
もちろん、かれ以外の者も。
敵軍の金子を盗むよう命じられたこの集団は、手練れであるばかりか、空気をよめるらしい。
「荷車をいけんかしやんせ」
「プOスリー」が、荷車に一番ちかい数名に命じる。
くそっ!一度「プOスリー」と思ってしまうと、それ以外には考えられない。
あるある、かな?たぶん・・・。
三名が、得物を上段にふりかぶりつつ、沢に殺到する。
敵は、非戦闘員に照準をあてる。
間に合うわけもない。
「ひいいっ!」
沢は、両腕で自分の頭をかばいつつちいさくなっている。
三つの猿叫。
ここのご近所さんは、猿の集団が餌をもとめて山からやってきたと、勘違いするだろうか?
「ぐわっ」
「なんじゃ」
「ぎゃあ」
だが、示現流の初太刀は不発におわった。
ついにきました。この男!がみえもはん」
三人は、得物を落とすことはなかったものの、その場で腰を折り、咳やらくしゃみやらをしている。右の掌で、ごしごしと
「いったいなんか?」
「苦しか」
「
一方、村田の
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21:02
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2023年04月27日
「泣くな、おめぇら
「泣くな、おめぇら。源さんだって、しめっぽいのはいやなはずだ。まずは、源さんの死に場所にいき、先行してる連中に追いつく。泰助、おぶってやる。泣きたかったら、おれの背で泣け。兼定の毛が、涙と鼻水とよだれで、ぐちゃぐちゃじゃねぇか・・・」
みながとめる間もない。
副長は泰助の腕を荒っぽくつかむと、相棒から引きはなしてしまう。そして、泰助がいやがるのを、無理に背に負う。
とっととあるきだす副長。
おれたちも泣きながら、互いのをみ合わせ、trust company hong kong esop trustee ESOP Trust 慌てて追いかけようとする。「主計、主計、死ぬのは、わたしもか?」
そのとき、山崎がうしろから肩を掴んできた。
その涙声で、大人も子どももあゆみをとめる。
「山崎っ、いらぬこといってんじゃねぇ。急げっ」
すでにあるきだしている副長が、厳しいまでの口調で怒鳴りちらす。
「副長、まってください。わたしは、主計に問うています。ここにわたしがいることが、わたしのに関係しているのでしたら、どうかやめてください。わたしのために、副長やみなを危ないめにあわせるわけにはまいりませぬ。ましてや、自身の意思に反し、悪鬼のごとくふるまうことも・・・」
山崎は、すばやくまえにまわると立ちはだかる。
答えるまで、てこでも動くものかという勢いで迫ってくる。
山崎の向こうで、子どもらがびっくりしたで、こちらをみている。
市村と田村の間で、相棒もこちらをみている。
山崎越しに、副長と「山崎先生、あなたは死ぬわけではありません。撃たれ、大坂に残るのです。副長は、あなたにずっと傍にいてほしい、と。ゆえに、撃たれぬよう、あなたを同道させ・・・」
「主計、おぬし、誠に間者をやっていたのか?に、嘘だとはっきりでておるぞ」
山崎は、苦笑しつついう。
なにぃ?
井上といい、かれといい、なにゆえ、おれの表情を見破れるのか?
おかしい・・・。
現役の、任務遂行中はあらゆる表情を消し、あるいは、そのシチュエーションに合わせ、味と深みのある名俳優のごとく演技をしていたというのに・・・。
それとも、昔よりいまのほうが、感情が豊かになっているのか?すっかり鈍ってしまっているのか?
内心の動揺で、さらににそれがでてしまったにちがいない。
「やはり、な。おぬし、根は馬鹿正直なのだ。はっきり申して、間者にはむいておらぬ」
くそっ、ひっかかった。
最初は、でてなかった。いまの言葉に動揺したことで、露呈してしまった。
山崎のほうが、一枚上手というわけである。「山崎っ、いいかげんにしやがれっ!」
副長が、ついにきれる。
「山崎、これ以上、おれたちを苦しめてくれるな。仲間がどうかなっちまうのを、みせてくれるな」
原田は山崎にちかづくと、ながい腕をその頸にからませる。
「ああ、左之さんの申すとおり。あんたのは、あんただけのものではない。あんたは、あんただけのことを考えていればいい、というわけではない」
斎藤は、爽やかな笑みとはほど遠い、ひきつった笑みで力説する。
「まったく・・・。主計のやつが、いらんこというからだ。山崎、気にすんな。おまえは死なん。ここにおれたちがいるのは、おまえのだけを護るってわけじゃない。おれたちが護らなきゃならんのは、いんちき剣士だ。おっと、どももな」
「まちやがれ、新八っ!そのいんちき剣士たぁ、だれのこった」
「ちょっとまってください、永倉先生っ!いらんことって、おれはなにもいってません」
副長と、反論がかぶる。
山崎が変な気をおこさなければ、どう思われようといわれようと、いっこうにかまわない。
副長も、同様であろう。
そして、永倉もそのつもりでいっている。
そのとき、相棒の耳が動き、鼻が上へ向く。
背後、伏見の方角から、複数の気配を感じる。
まさか敵が、引き返してきた?それとも、追撃隊か?
この人数、いくらだれかさんをのぞいて手練ばかりといっても、かぎりがある。
あっ、手練ばかりというところで、自分も含めてる。
まぁ、いっか。
兎も角、山崎の死を論じていて、いまここで全員が死んでしまったら、それこそ、「ダサッ」である。
冷汗が、背を伝う。
それは、この真冬の寒さ以上に冷えきっている。 だが・・・。
相棒が、尻尾を激しくふる。
それこそ、空気を薙ぎ払う勢いで。
「副長、すくなくとも敵ではなさそうです」
報告するまでもなく、全員が相棒の様子に気がついている。
「俊冬?それに、会津の・・・」
ややあって、あらわれた集団。
原田の呟きどおり、一団の先頭にいるのは、俊冬。
そのうしろの駕籠は・・・。
みながとめる間もない。
副長は泰助の腕を荒っぽくつかむと、相棒から引きはなしてしまう。そして、泰助がいやがるのを、無理に背に負う。
とっととあるきだす副長。
おれたちも泣きながら、互いのをみ合わせ、trust company hong kong esop trustee ESOP Trust 慌てて追いかけようとする。「主計、主計、死ぬのは、わたしもか?」
そのとき、山崎がうしろから肩を掴んできた。
その涙声で、大人も子どももあゆみをとめる。
「山崎っ、いらぬこといってんじゃねぇ。急げっ」
すでにあるきだしている副長が、厳しいまでの口調で怒鳴りちらす。
「副長、まってください。わたしは、主計に問うています。ここにわたしがいることが、わたしのに関係しているのでしたら、どうかやめてください。わたしのために、副長やみなを危ないめにあわせるわけにはまいりませぬ。ましてや、自身の意思に反し、悪鬼のごとくふるまうことも・・・」
山崎は、すばやくまえにまわると立ちはだかる。
答えるまで、てこでも動くものかという勢いで迫ってくる。
山崎の向こうで、子どもらがびっくりしたで、こちらをみている。
市村と田村の間で、相棒もこちらをみている。
山崎越しに、副長と「山崎先生、あなたは死ぬわけではありません。撃たれ、大坂に残るのです。副長は、あなたにずっと傍にいてほしい、と。ゆえに、撃たれぬよう、あなたを同道させ・・・」
「主計、おぬし、誠に間者をやっていたのか?に、嘘だとはっきりでておるぞ」
山崎は、苦笑しつついう。
なにぃ?
井上といい、かれといい、なにゆえ、おれの表情を見破れるのか?
おかしい・・・。
現役の、任務遂行中はあらゆる表情を消し、あるいは、そのシチュエーションに合わせ、味と深みのある名俳優のごとく演技をしていたというのに・・・。
それとも、昔よりいまのほうが、感情が豊かになっているのか?すっかり鈍ってしまっているのか?
内心の動揺で、さらににそれがでてしまったにちがいない。
「やはり、な。おぬし、根は馬鹿正直なのだ。はっきり申して、間者にはむいておらぬ」
くそっ、ひっかかった。
最初は、でてなかった。いまの言葉に動揺したことで、露呈してしまった。
山崎のほうが、一枚上手というわけである。「山崎っ、いいかげんにしやがれっ!」
副長が、ついにきれる。
「山崎、これ以上、おれたちを苦しめてくれるな。仲間がどうかなっちまうのを、みせてくれるな」
原田は山崎にちかづくと、ながい腕をその頸にからませる。
「ああ、左之さんの申すとおり。あんたのは、あんただけのものではない。あんたは、あんただけのことを考えていればいい、というわけではない」
斎藤は、爽やかな笑みとはほど遠い、ひきつった笑みで力説する。
「まったく・・・。主計のやつが、いらんこというからだ。山崎、気にすんな。おまえは死なん。ここにおれたちがいるのは、おまえのだけを護るってわけじゃない。おれたちが護らなきゃならんのは、いんちき剣士だ。おっと、どももな」
「まちやがれ、新八っ!そのいんちき剣士たぁ、だれのこった」
「ちょっとまってください、永倉先生っ!いらんことって、おれはなにもいってません」
副長と、反論がかぶる。
山崎が変な気をおこさなければ、どう思われようといわれようと、いっこうにかまわない。
副長も、同様であろう。
そして、永倉もそのつもりでいっている。
そのとき、相棒の耳が動き、鼻が上へ向く。
背後、伏見の方角から、複数の気配を感じる。
まさか敵が、引き返してきた?それとも、追撃隊か?
この人数、いくらだれかさんをのぞいて手練ばかりといっても、かぎりがある。
あっ、手練ばかりというところで、自分も含めてる。
まぁ、いっか。
兎も角、山崎の死を論じていて、いまここで全員が死んでしまったら、それこそ、「ダサッ」である。
冷汗が、背を伝う。
それは、この真冬の寒さ以上に冷えきっている。 だが・・・。
相棒が、尻尾を激しくふる。
それこそ、空気を薙ぎ払う勢いで。
「副長、すくなくとも敵ではなさそうです」
報告するまでもなく、全員が相棒の様子に気がついている。
「俊冬?それに、会津の・・・」
ややあって、あらわれた集団。
原田の呟きどおり、一団の先頭にいるのは、俊冬。
そのうしろの駕籠は・・・。
Posted by beckywong at
20:47
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2023年04月27日
おまささんは、元気だ
おまささんは、元気だという。もちろん、産んだことによる体力の消耗はあるが。
手拭いの追加をもってゆく。
廊下からちらりとなかをのぞきこむと、布団に寝ているかのじょとがあう。
すると、握り拳に親指だけを立て、ガッツポーズを送ってくるではないか。
そうだ、まえにみなに教えたことがあった。
そのしばらくあと、原田が「おまさが、これを気に入ってよ。打botox瘦面 瘦面botox v面療程 ことあるごとにやってる。アレのときにやられてみろ。なんか、満足させれたのかどうか・・・。ビミョーになるときがある」と、別件で教えたビミョーを駆使し、いっていた。
まぁたしかに、アレのときにつかうのはビミョーだが、いまのつかいかたは正解である。
ガッツポーズをかえしておく。 お孝さんが原田を呼びにいってくれる。
「うわー、お猿さん」
俊冬からそのままの姿で受けとり、思わずつぶやく。
真っ赤でちいさな体・・・。
ふにゃふにゃ泣いて、一生懸命自己主張している。
あ、ついてる。第二子も男の子。
ドラマ化もされた人気コミック、「コウOドリ」みたいだ。
丁寧にきれいに拭き、俊冬に託す。
すると、手際よくおくるみで巻く。
そこへ、原田がやってくる。
感動的な父子のご対面・・・。 いや、まてよ・・・。
ここでとんでもないことに思いいたる。いや、思いだす。
この子はたしか、原田が鳥羽伏見の戦いにでたあとに産まれるはず。そして、一週間かそこらで夭折する・・・。
そんな、まだ産まれたばかりなのに・・・。
PCの画面で文字をよむのと、こうしてお猿さんみたいな子を抱き上げ、ふにゃふにゃ泣いているのをきくのとは違う。
こんなに元気な子を、死なせたくない。せっかくこの世に産まれてきたのに、なにゆえ死なねばならぬ?
死なせたくない。生き抜いて、この世をみてほしい。感じてほしい。
すぐさま、双子と協議する。 お孝さんは、子守をしながら後片付けに奔走している。
「おまさ、よくやった。立派なじゃないか」
原田は、おまささんの枕元に胡坐をかく。すこしやつれたようにみえるおまささんの頬を、やさしく撫でながら話しかける。
協議の結果、原田に事情を告げた。
産まれたばかりの子が、すぐに死んでしまうなんてこといいたくもないが、そうもいっていられない。
小さな小さなを助けるためには、違うレールを準備しなくてはならない。
「おまさ、すまねぇ。もうじき、戦になりそうだ。無論、おれもゆく。茂とこの子を連れ、実家にかえれ。実家には、おれからきちんと話をしておく。おれが迎えにゆくまで、三人で実家でまっていてくれ。それまで、二人を頼んだぞ。二人を、立派なにせんとな」
一瞬、原田は自分の死期を悟っているのかと、ひやっとする。
おまささんは、原田のいうことに口をはさまず、理由をきいたり泣き言や不安を口走らず、ただ一言「三人でまっています」、とだけこたえる。
頭の下がる思いである。「原田先生、命名を」
俊冬が、硯と紙をもって入ってくる。
この際、硯や紙をどっからぱくってきたのかは、スルーすることに。
いや、いまのはジョークでも言葉遊びでもない。
「そうだな・・・。茂は、将軍様から一字をもらったが・・・」
指で顎をさすりながら、原田は思案する。
おまささんをはさんで座っているおれと、があう。
「主計、親父さんの名は?」
「え?親父の名前ですか?たつひこ、ですが・・・」
原田は、にんまり笑う。
「よしっ、決めた。たつひこ。たつひこだ。おまさ、主計は兎も角、主計の親父さんは、立派な剣士だったらしい。武勇にあやかろう」
「主計は兎も角って、どういうこと・・・」
苦笑するしかない。
原田の気持ちがうれしい。親父もきっと喜んでくれてるはず。そして、護ってくれるだろう。
リアルな 俊冬は、すらすらと紙に筆をはしらせる。
『命名 龍彦』
驚いてしまう。
親父とおなじ漢字・・・。
俊冬とがあうと、華奢な肩をすくめる。
「われらは、「密教占星術」や「陰陽道」を心得ておる。字のもつ意味から、これがいちばんふさわしいと」
「はいはい、わかってますよ、俊冬殿。ちがいます。親父とおなじ漢字だったので、驚いただけです」
「原田先生、この名なら、主計とちがって立派なになりますよ」
俊春が、陰険きわまりないいことをいっている。
「失礼な。なにゆえ、主計とちがって、などと・・・」
「ことあるごとにひっくり返るなど・・・」
「だーっもうっ、虚弱体質みたいにいわないでください」
俊春にかみつき、全員に「しー」っといさめられる。
おれのイメージは、ことあるごとに倒れる虚弱体質腐隊士にちがいない。
「超絶虚弱体質腐隊士、新撰組の底辺からのしあがるぞ!」
っていうタイトルの小説でも書いて、web投稿サイトにでも投稿したら、よんでくれる人がいるだろうか?
手拭いの追加をもってゆく。
廊下からちらりとなかをのぞきこむと、布団に寝ているかのじょとがあう。
すると、握り拳に親指だけを立て、ガッツポーズを送ってくるではないか。
そうだ、まえにみなに教えたことがあった。
そのしばらくあと、原田が「おまさが、これを気に入ってよ。打botox瘦面 瘦面botox v面療程 ことあるごとにやってる。アレのときにやられてみろ。なんか、満足させれたのかどうか・・・。ビミョーになるときがある」と、別件で教えたビミョーを駆使し、いっていた。
まぁたしかに、アレのときにつかうのはビミョーだが、いまのつかいかたは正解である。
ガッツポーズをかえしておく。 お孝さんが原田を呼びにいってくれる。
「うわー、お猿さん」
俊冬からそのままの姿で受けとり、思わずつぶやく。
真っ赤でちいさな体・・・。
ふにゃふにゃ泣いて、一生懸命自己主張している。
あ、ついてる。第二子も男の子。
ドラマ化もされた人気コミック、「コウOドリ」みたいだ。
丁寧にきれいに拭き、俊冬に託す。
すると、手際よくおくるみで巻く。
そこへ、原田がやってくる。
感動的な父子のご対面・・・。 いや、まてよ・・・。
ここでとんでもないことに思いいたる。いや、思いだす。
この子はたしか、原田が鳥羽伏見の戦いにでたあとに産まれるはず。そして、一週間かそこらで夭折する・・・。
そんな、まだ産まれたばかりなのに・・・。
PCの画面で文字をよむのと、こうしてお猿さんみたいな子を抱き上げ、ふにゃふにゃ泣いているのをきくのとは違う。
こんなに元気な子を、死なせたくない。せっかくこの世に産まれてきたのに、なにゆえ死なねばならぬ?
死なせたくない。生き抜いて、この世をみてほしい。感じてほしい。
すぐさま、双子と協議する。 お孝さんは、子守をしながら後片付けに奔走している。
「おまさ、よくやった。立派なじゃないか」
原田は、おまささんの枕元に胡坐をかく。すこしやつれたようにみえるおまささんの頬を、やさしく撫でながら話しかける。
協議の結果、原田に事情を告げた。
産まれたばかりの子が、すぐに死んでしまうなんてこといいたくもないが、そうもいっていられない。
小さな小さなを助けるためには、違うレールを準備しなくてはならない。
「おまさ、すまねぇ。もうじき、戦になりそうだ。無論、おれもゆく。茂とこの子を連れ、実家にかえれ。実家には、おれからきちんと話をしておく。おれが迎えにゆくまで、三人で実家でまっていてくれ。それまで、二人を頼んだぞ。二人を、立派なにせんとな」
一瞬、原田は自分の死期を悟っているのかと、ひやっとする。
おまささんは、原田のいうことに口をはさまず、理由をきいたり泣き言や不安を口走らず、ただ一言「三人でまっています」、とだけこたえる。
頭の下がる思いである。「原田先生、命名を」
俊冬が、硯と紙をもって入ってくる。
この際、硯や紙をどっからぱくってきたのかは、スルーすることに。
いや、いまのはジョークでも言葉遊びでもない。
「そうだな・・・。茂は、将軍様から一字をもらったが・・・」
指で顎をさすりながら、原田は思案する。
おまささんをはさんで座っているおれと、があう。
「主計、親父さんの名は?」
「え?親父の名前ですか?たつひこ、ですが・・・」
原田は、にんまり笑う。
「よしっ、決めた。たつひこ。たつひこだ。おまさ、主計は兎も角、主計の親父さんは、立派な剣士だったらしい。武勇にあやかろう」
「主計は兎も角って、どういうこと・・・」
苦笑するしかない。
原田の気持ちがうれしい。親父もきっと喜んでくれてるはず。そして、護ってくれるだろう。
リアルな 俊冬は、すらすらと紙に筆をはしらせる。
『命名 龍彦』
驚いてしまう。
親父とおなじ漢字・・・。
俊冬とがあうと、華奢な肩をすくめる。
「われらは、「密教占星術」や「陰陽道」を心得ておる。字のもつ意味から、これがいちばんふさわしいと」
「はいはい、わかってますよ、俊冬殿。ちがいます。親父とおなじ漢字だったので、驚いただけです」
「原田先生、この名なら、主計とちがって立派なになりますよ」
俊春が、陰険きわまりないいことをいっている。
「失礼な。なにゆえ、主計とちがって、などと・・・」
「ことあるごとにひっくり返るなど・・・」
「だーっもうっ、虚弱体質みたいにいわないでください」
俊春にかみつき、全員に「しー」っといさめられる。
おれのイメージは、ことあるごとに倒れる虚弱体質腐隊士にちがいない。
「超絶虚弱体質腐隊士、新撰組の底辺からのしあがるぞ!」
っていうタイトルの小説でも書いて、web投稿サイトにでも投稿したら、よんでくれる人がいるだろうか?
Posted by beckywong at
00:27
│Comments(0)
2023年04月24日
その頃、屯所では先
その頃、屯所では先に帰った隊士からの訃報により騒動となっていた。
あと数日で妻になるはずだった女の亡骸の横に、沖田は何も言わずに座る。情は湧いていなかったが、それでも縁あって一緒になる予定だったのだ。寂しく思わない訳が無い。
「……総司」
そこへ近藤がやって来た。共に死を悼むように、背後から両肩へ手が添えられる。
「……私に関わらなければ、
company incorporation company registration hong kong
Accounting Services hong kong この人は死なずに済んだのやも知れませんね」
「そのような事はない。俺が、もっと身辺を洗っておけば良かったんだ……」
監察方からの尋問結果を聞くと、男はハルに長年思いを寄せていた。やっと逢引に応じて貰えたところで、沖田が現れたという。容姿端麗で武の道にも明るい沖田へ、ハルは瞬く間に夢中になった。縁談の話しが立ち上がった途端に、男は冷たくあしらわれたのだ。それを恨み、ハルを殺して自分も死ぬつもりだった。
恋というものは時に人を狂わせる。どれだけ勤勉実直であっても、魔に取り憑かれたようにたちまち道を踏み外してしまうものだ。
「……この人は身寄りが無い。私の縁者としてなら、光縁寺さんで弔って貰えるでしょうか」
「無論だ。俺から監察方へ言っておく」
近藤はそう言うと、去って行く。その後ろ姿を見送りながら沖田は自身の胸を摩った。咳が出る訳では無いが、いつもよりも違和感が強い。鈍痛のような、気持ち悪さのような何とも言えぬ感覚が拭いきれない。
沖田は立ち上がると、部屋を出た。するとそこへハルを運んできた隊士が待機していることに気付く。
「あの、そう言えば桜司──伍長と山野君はどうしましたか」
そう問えば、隊士は瞳を伏せた。どうも様子がおかしいことを察した沖田は詰め寄る。
「どうしましたか、と聞いているのです」
「そ、それは……。申し訳ございません、副長より沖田組長には言うなと言われており──」
「貴方の直属の上司は誰ですか?構いません、言って下さい。私が無理矢理聞き出したのですから、罰されることは無いです」
口元には笑みをたえているが、目の奥は冷たい光を帯びていた。それに気付いた隊士は肩を跳ねさせると、頭を下げながら実は……と口を開く。 沖田の身体は副長室へ向かっていた。
『──状況は分かりませんでしたが、到着した頃には捕縛された男の近くに、腹を押さえた伍長が座っており……。山野が担いで走っていきました。先程、その山野が一人で副長室へ行く姿を見掛けたような……』
その脳裏には隊士から聞き出した言葉が何度も再生される。あれほどの腕を持つ桜司郎が、素人の男にやられるなど信じてはいなかった。だが最悪の事態を想像しては、焦燥感が襲う。
「失礼します!」
言うが早いか、障子を開け放つ。すると、そこには山野の姿があった。その着物には血痕がところどころに付着している。
それを目敏く見付けた沖田は目を細めながら、室内へ入った。
しかし土方にはそれすら予想の範疇であり、沖田の存在など意に介さないと言わんばかりに、山野から視線を逸らさない。
報告ご苦労だった。下がって良い」
「は、はい……」
山野は部屋から出ようとしたが、沖田の存在が気になるのか、横目で盗み見た。
それを見た沖田は口を開いた。
「山野君、桜司郎さんはどちらへ?」
その質問に山野は答えようとするが、それよりも早く土方が睨み付ける。
「君は答えずとも良い。何をしている、行きたまえ」
副長の命には逆らえぬと、山野は部屋を後にした。
「
「山野君、ェ……彼奴に惚れているだろう」
「な……ッ」
あと数日で妻になるはずだった女の亡骸の横に、沖田は何も言わずに座る。情は湧いていなかったが、それでも縁あって一緒になる予定だったのだ。寂しく思わない訳が無い。
「……総司」
そこへ近藤がやって来た。共に死を悼むように、背後から両肩へ手が添えられる。
「……私に関わらなければ、
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Accounting Services hong kong この人は死なずに済んだのやも知れませんね」
「そのような事はない。俺が、もっと身辺を洗っておけば良かったんだ……」
監察方からの尋問結果を聞くと、男はハルに長年思いを寄せていた。やっと逢引に応じて貰えたところで、沖田が現れたという。容姿端麗で武の道にも明るい沖田へ、ハルは瞬く間に夢中になった。縁談の話しが立ち上がった途端に、男は冷たくあしらわれたのだ。それを恨み、ハルを殺して自分も死ぬつもりだった。
恋というものは時に人を狂わせる。どれだけ勤勉実直であっても、魔に取り憑かれたようにたちまち道を踏み外してしまうものだ。
「……この人は身寄りが無い。私の縁者としてなら、光縁寺さんで弔って貰えるでしょうか」
「無論だ。俺から監察方へ言っておく」
近藤はそう言うと、去って行く。その後ろ姿を見送りながら沖田は自身の胸を摩った。咳が出る訳では無いが、いつもよりも違和感が強い。鈍痛のような、気持ち悪さのような何とも言えぬ感覚が拭いきれない。
沖田は立ち上がると、部屋を出た。するとそこへハルを運んできた隊士が待機していることに気付く。
「あの、そう言えば桜司──伍長と山野君はどうしましたか」
そう問えば、隊士は瞳を伏せた。どうも様子がおかしいことを察した沖田は詰め寄る。
「どうしましたか、と聞いているのです」
「そ、それは……。申し訳ございません、副長より沖田組長には言うなと言われており──」
「貴方の直属の上司は誰ですか?構いません、言って下さい。私が無理矢理聞き出したのですから、罰されることは無いです」
口元には笑みをたえているが、目の奥は冷たい光を帯びていた。それに気付いた隊士は肩を跳ねさせると、頭を下げながら実は……と口を開く。 沖田の身体は副長室へ向かっていた。
『──状況は分かりませんでしたが、到着した頃には捕縛された男の近くに、腹を押さえた伍長が座っており……。山野が担いで走っていきました。先程、その山野が一人で副長室へ行く姿を見掛けたような……』
その脳裏には隊士から聞き出した言葉が何度も再生される。あれほどの腕を持つ桜司郎が、素人の男にやられるなど信じてはいなかった。だが最悪の事態を想像しては、焦燥感が襲う。
「失礼します!」
言うが早いか、障子を開け放つ。すると、そこには山野の姿があった。その着物には血痕がところどころに付着している。
それを目敏く見付けた沖田は目を細めながら、室内へ入った。
しかし土方にはそれすら予想の範疇であり、沖田の存在など意に介さないと言わんばかりに、山野から視線を逸らさない。
報告ご苦労だった。下がって良い」
「は、はい……」
山野は部屋から出ようとしたが、沖田の存在が気になるのか、横目で盗み見た。
それを見た沖田は口を開いた。
「山野君、桜司郎さんはどちらへ?」
その質問に山野は答えようとするが、それよりも早く土方が睨み付ける。
「君は答えずとも良い。何をしている、行きたまえ」
副長の命には逆らえぬと、山野は部屋を後にした。
「
「山野君、ェ……彼奴に惚れているだろう」
「な……ッ」
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