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2024年07月31日

親子の間に青白い視線の火花が散るの見て

親子の間に青白い視線の火花が散るの見て、濃姫は慌てて口を挟んだ。

「畏れながら義母上様。何も殿は一人安穏と過ごしていた訳ではございませぬ。信光様の軍に何かあった折には、
すぐにでも加勢出来るようにと、自ら武器も具足も整えられ、ご家老方にも常に清洲の動きを──」

「お濃よい!」

地鳴りのような太い声が座に轟き、濃姫ははっとなって口をつぐんだ。

「確かに、母上様の仰せに間違いはござらぬ。実際に清洲勢と戦い、信友殿を自刃に追い込んだのは叔父上であって儂ではない。自らの手を汚してはいないと言われれば、その通りなのであろう」

報春院は余裕の面持ちで若干胸を張った。

「されど、此度の清洲との戦は、事実上、儂と信友殿との戦であったという事をゆめゆめお忘れなきように」 http://hkworld.blogg.se/2024/august/entry-2.html https://keizo.anime-navi.net/Entry/74/ https://keiichi76.anime-festa.com/Entry/29/

「何と…?」

「確かに叔父上は多大なる功績を上げてくれましたが、それもこれも事前の話し合いと、こちらからの的確な指図があったればこその事。

此度の戦の大将はあくまでも儂であり、叔父上はその協力者に過ぎなかったという事実を、どうぞその狭きお心でお受け止め下さいませ」

侮蔑のこもった息子の反論に、暫し二の句を継げないでいたが

「笑止な。その協力者を手にかけたのは、信長殿、誰あろうそなた様ではないか?」

まるで切り札でも出すような勢いで、報春院は畳み掛けて来た。

一瞬、場にざわめきが立った。
信光の死の委細を口にする事は、“様々な理由から”半ば禁句のような状態なのである。

張り詰めた空気の中、信長はふっと口の片端をつり上げた。

「はて、何の事でございましょう?仰っている意味がよう分かりませぬが」

「白々しい。そなたが信光殿を殺めた事くらい分かっておる」

「誰に何を聞いたかは存じませぬが、叔父上の死は、重臣・坂井孫八郎の乱心による不慮の事故であっと聞き及びまする。

…ああ、なれど、左様にございますな。巷では、叔父上が死したのは起請文に背いた故の神罰じゃと噂されているとか?

叔父上に起請文を書くように命じたのは某にございます故、確かに確かに、言い換えてみれば儂が叔父上を殺したようなものやも知れませぬな」

「いつまで惚けておられるつもりじゃ?皆々口には出さずとも、誰しもがそなた様による謀殺じゃと思うておりまするぞ」

「人が何を思おうが、この信長とは関係ござらぬ」

「いったい何故に実の叔父に手をかけられたのじゃ。この尾張を一日も早よう我が物にする為か?」

「存じませぬ」

「それとも下四郡の半分を与える事が惜しゅうなったのか?」

「存じませぬ」

信長がかぶりを振り続けると

「佐渡守殿──」

報春院はその切れ長な目を、端に控える秀貞へと向けた。
「そなた確か、信光殿亡き後にこの信長殿から、主を喪のうた那古屋城の城代を命じられたそうじゃな?」

「…はい、左様にございます」

「佐渡は父上の代より長らく織田家に仕えし一番家老にございます故、城代に最も相応しき人物と判断致し、那名古の城を任せた次第にございます」

信長が有り体に訳を述べると

「それは可笑しな話ではございませぬか、信長殿」

「何がでございましょう?」

「那古屋城ほどの立派な城ならば、わざわざ家臣を城代として置かずとも、織田家一門の中から次なる城主を定めれば良いでありませぬか?」
  


Posted by beckywong at 23:59Comments(0)