2024年03月31日

『あのご馳走様は最後のコレか。』

『あのご馳走様は最後のコレか。』


入江は昨夜三津に食らった仕打ちは体が覚えていたコレだと確信した。最後の仕草が全く同じだった。


「皆の前でせんでもいいやないですかぁ!馬鹿ぁ!!」


三津はわんわん泣きながら赤禰の傍に駆け寄って腕に縋りついて泣いた。


「武人さん何で長州の人は変態ばっかなんですかぁ!!」


「そりゃあ松陰先生の教え子ばっかやけんなぁ。」 https://blog.udn.com/79ce0388/180455444 https://classic-blog.udn.com/79ce0388/180455448 https://freelancer.anime-voice.com/Entry/73/


「わやな先生や納得ぅ〜………。」


赤禰はよしよしと三津の背中を撫でてやった。それを見た桂はお猪口を握り潰しそうな勢いで力を込めた。


「九一,赤禰君は何故名前で呼ばれてる?」


「武人さんは初日に三津さんの信頼を勝ち取ったので。」


そこは私も気に入らないんですよと笑ってない目で笑った。


「なるほど。共通の敵はアレか。」


「そうですね。敵っちゃ敵ですね。でも私の味方です。」


「ならば私には害があるのか。早急に処分を。」


「さらっと物騒な事言ったな,おい。」


赤禰は身の危険を感じたが三津が縋りついてて逃げられない。「武人さんの処分はアカン!絶対アカン!唯一まともな人やのにぃ〜……。」


三津はそんな事許しませんと赤禰を守るように抱きついた。


「三津さんもう酔っちょるんか。俺も別にまともやないぞ?ただ周りに常軌を逸脱した奴らが多過ぎて普通に見えるだけや。存在が霞んで見えるそっちゃ。」


「そんな事ありません!私この中やったら武人さん一番好きやもん!」


それには桂がゆらりと立ち上がった。聞き捨てならぬと入江も殺気立つ。


「一番好き?三津,それはどう言う事だ?」


「桂さん,三津さん酔ってますから真に受けないで下さい。これ以上嫌われる気ですか?」


伊藤がどうにか桂を宥めようと間に割って入った。
嫌われると言う単語は今桂に一番有効的な言葉だ。


「これ以上?私は今すでに嫌われてるのか?」


『しまった……より面倒臭くなった……。』


伊藤は言葉選びに失敗した。この状況を助けてくれる親切な奴はと周りを見渡すが見事に目を逸らされた。


「三津さん,桂さんが寂しがっちょるけぇ隣り行っちゃり?久しぶりに会えたのに話さんと損や。」


赤禰が抱きつく三津の頭を撫でながら優しく諭す。これぞ信頼を勝ち取った男の対応力。


「何話していいか分からへんもん……。ホンマはいっぱい喋りたいのに会っていきなり怒られたし,小五郎さん私の事嫌いなんかも知らん……。」


三津は赤禰に抱きついたままめそめそ泣いた。今日は泣き上戸かと赤禰は笑って今度は背中をぽんぽん叩いた。


「そうじゃ三津さんは甘えたで優しさに飢えちょるんやった。俺が存分に甘えさせちゃる。」


高杉が思い出したと手を打って酒を片手に三津の傍に近付こうとしたのを伊藤に羽交締めにされた。


「桂さん,貴方の役目でしょ?」


伊藤に睨まれながらも桂はゆっくり三津の傍に寄って腰を下ろした。


「三津,嫌いになんかなってない。私の方が君に嫌われたんじゃないかと焦ったんだ。すまない。お願いだから他の男じゃなくて私の所に来てくれないか?」


桂が優しく語りかけようとも三津は赤禰に抱きついたまま顔すら見せなかった。微動だにしない。


「あの桂さんが口説いちょるのに振り向かん女子がおるとはな。」


「そりゃ大事にされちょらんって分かったらいくら相手が桂さんでも愛想尽きるやろ。三津さん引く手数多で選びたい放題やけぇ。」


山縣と高杉がコソコソと話すが桂の耳には届いており容赦なくその心を抉り取った。「三津さん,文句でも何でもいいけぇ言うてみ?」


赤禰に促されて三津がちらっと桂を見た。


「文句はあるみたいですね。」


入江がくくっと喉を鳴らして笑い,桂は横目で入江を睨んだ。それからさらに三津の傍ににじり寄った。


「文句もしかと受け止める。だからこっちにおいで。」



Posted by beckywong at 19:29│Comments(0)
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