Becky Wong

"サキカ達は宿屋に戻った。

巧については、宿屋の主人に事情を話すと、サキカ達が泊まっている部屋に泊まるのであれば追加料金なしで泊まってもいいとのことであったので、巧をサキカ達男衆の部屋へと連れて 日本置業 った。

部屋に入るとガイアは床に座り込み、“ボックス”から鏡水晶を取り出した。

ガイアは鏡水晶に少し魔力を込める。

すると水晶玉にイヴの姿が映し出される。

といっても向こう側の水晶玉から見える範囲の肩から上だけだが。

「ガイアか……。依頼が終わったのか……ってなんだ、その子供は?」

おそらくイヴから巧が見える範囲にいたのだろう。

当然イヴは巧に見覚えがなかったため、ガイアに問いたのだ。

「この子供は依頼先で拾いました。この子供の話によれば、彼はどうやらリズの森に捨てられたらしいです。……詳しいことはサキカに聞いてください」

ガイアも話を聞いていたものの、そこまでジパング語が得意なわけではなく、サキカと巧の話についていけなかったのだ。

「……?なんでだ?」

イヴの疑問はごもっともである。

普通に考えれば、依頼を行っている途中にこの子供――巧を拾ったのであれば、ガイアも勿論一緒にいて話を聞いているはずである。

「あ～……。それがこの子、東の国の者らしくて……」

「東の国……?どうりで見覚えのない服装を……。待った、東の国だと?ということはジパング語……?」

「はい」

苦笑いを浮かべるガイアにイヴは軽く顔をしかめた。

「まさかだが……、サキカはジパング語がわかるのか?」

「はい」

ガイアの即答にイヴは頭を抱えた。

「頭のいい奴だとは思っていたが……、ジパング語までできるとはな。流石に驚きだ」
日本置業

ジパング語は難しい。

四種類もの文字が存在し、複雑かつ難解な表現が多々あるのだ。


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"「よし、かかってこい!!」

ロードの声を合図にリリス Dr Ankie Mak 口を開いた。

「【ローズ】水の章・第十三の術“氷の陣”!!」

特別属性の氷属性上級魔法“氷の陣”と同じ魔法である。

勿論、魔導書を使っているとは言えそれ相応に難しい魔法であり、例えるならば中級魔法を詠唱破棄すること並に難しい。

水色の魔法陣がロードの足元に浮かぶ。

ロードは少し驚いたが、横に飛び、それを避けようとする。

しかし――

「【ローズ】火の章・第六の術“火炎”!!」

火属性中級魔法“火炎”と同じ魔法である。

火の輪が現れ、回転しながらロードに向かって飛んでいく。

そう、リリスは追撃したのだ。

ほんの数ヶ月前なら魔法を避けられただけであたふたしていた生徒が、追撃をするようになった。

それは驚くべきほどの成長ぶりで、ロードは嬉しさから僅かに目を細めた。

勿論、“火炎”を避けることを忘れずに。

「よし、終わりだ。戻っていい」

リリスは少し嬉しそうに笑い、闘技室を後にした。




















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「うぅ……緊張します」

独り言が廊下に意外に響いてしまい、少しだけ身を縮めるのは、薄く緑がかった白い長い髪にエメラルドグリーンの瞳の少女、ユリアスである。

胸に手を当て、目を閉じて深呼吸をするその横顔は、正しく美少女と呼ばれるそれである。

「……よし」

ユリアスは目を開けると小さく呟き、ドアをノックする。

コンコンコン

「入れ」

返事を聞いたユリアスは取っ手に手をかけた。



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