2023年12月09日
きりりと前を睨み、神経を尖らせて
きりりと前を睨み、神経を尖らせて暗がりを進んでいく。
客で賑わう祇園へ到着するも、幸いにして可笑しな行動を取る輩は現れなかった。
良かったと安堵の息を漏らし、八坂の塔を回って五条大橋から帰営しようと足を向ける。
だが、少し歩いたあたりで、
「ッ、嫌ァァ──ッ!」
つんざくような女の悲鳴が聞こえた。途端に空気が張り詰め、桜司郎は声の方角を睨む。
「二人組になり、それぞれ小路を進みます。何か見付けたら、https://andreww.anime-navi.net/Entry/1/ https://fnetchat.com/read-blog/177789 https://johnsmith.blox.ua/2023/12/08/%e3%81%9d%e3%81%ae%e8%83%8c%e3%81%ab%e5%90%91%e3%81%8b%e3%81%a3%e3%81%a6%e6%8a%95%e3%81%92%e3%82%89%e3%82%8c%e3%81%9f/ 笛を吹いて合図をして下さい」
その指揮を聞いた隊士達はさっさと二人組を作ると、それぞれ駆けていった。桜司郎は山野と組み、同じように狭い小路を進んでいく。
「──桜司郎、こっちだ!血の臭いがするぜ」
鼻の良い山野が何かを嗅ぎ付けたため着いていくと、そこには短刀を手にした男と、刺された女が倒れていた。山野は手にした笛を吹く。
桜司郎は素早く刀を抜きながら、男の動向を見た。
「新撰組です。神妙にしなさい。……八十八君、倒れている人の確認をお願い。まだ息があるなら、集まった隊士と一緒に運んで頂戴」
「応!」
その隙に、山野が女の元へ駆け寄る。桜司郎は二人と男の間に身を滑り込ませた。炯々とした目付きと、隙の無い構えで男を牽制する。
「し、新撰組……。分かった、新撰組に敵うとは思っとらん……。はよ連れてっとくれやす」
男は直ぐにだらりと項垂れ、存外に抵抗をしなかった。それに驚きながら、桜司郎は捕縛用の縄を取り出すと男の方へ向かう。
「桜司郎ッ!!!こ、この女……!」
その時、倒れた女を確認している筈の山野から悲鳴に近い声が聞こえた。
「何?」
「間違いねえ、だ!」
「──え?」
桜司郎はそれに気を取られ、殺気を弱める。その上、男が未だに短刀を手から離していなかったことに気付いていなかった。 その瞬間である。男は不敵な笑みを浮かべて顔を上げた。
「アンタらが……アンタらが居らんかったら!!!この女は俺のモンやったんやッ!去ねェ、壬生狼ォ!」
──しまった!
男は短刀を構え直すと、桜司郎の懐へ飛び込んだ。何とか避けようと身体を逸らすも、距離が近すぎる上に気怠さのせいか躱しきれずに、切っ先が右脇腹を掠める。
「ぅグッ!」
唸るような声と共に、ぽたぽたと血痕が静かに散った。
「桜司郎ッ!!」
山野の声が聞こえたが、大丈夫だと返す。
焼け付くような久方ぶりのその感覚に顔を歪めながらも、男の手首を掴んでは捻り上げた。短刀が地面へ落ちるのを確認すると、自身の刀の柄で男の後頭部を殴る。
身体中の熱が傷口へ集まり、じわりと血液が体外へ出て行くのを感じながら、前のめりに倒れた男に馬乗りになった。そして手を後ろに交差する形で今度こそ縛り上げる。
そこへ山野が駆け寄ってきた。
「桜司郎、どこをやられた!?すまねえ、俺が声を掛けたばかりに……ッ」
「……違う、八十八君のせいじゃない。私が、油断していた……」
脇腹へ手を当てながら、男の上から退くと座り込む。目の前に落ちている短刀を拾い上げ、月光へ翳した。ぬらぬらと血に濡れたそれは、随分と手入れのされていない、切れ味の悪い錆のある
客で賑わう祇園へ到着するも、幸いにして可笑しな行動を取る輩は現れなかった。
良かったと安堵の息を漏らし、八坂の塔を回って五条大橋から帰営しようと足を向ける。
だが、少し歩いたあたりで、
「ッ、嫌ァァ──ッ!」
つんざくような女の悲鳴が聞こえた。途端に空気が張り詰め、桜司郎は声の方角を睨む。
「二人組になり、それぞれ小路を進みます。何か見付けたら、https://andreww.anime-navi.net/Entry/1/ https://fnetchat.com/read-blog/177789 https://johnsmith.blox.ua/2023/12/08/%e3%81%9d%e3%81%ae%e8%83%8c%e3%81%ab%e5%90%91%e3%81%8b%e3%81%a3%e3%81%a6%e6%8a%95%e3%81%92%e3%82%89%e3%82%8c%e3%81%9f/ 笛を吹いて合図をして下さい」
その指揮を聞いた隊士達はさっさと二人組を作ると、それぞれ駆けていった。桜司郎は山野と組み、同じように狭い小路を進んでいく。
「──桜司郎、こっちだ!血の臭いがするぜ」
鼻の良い山野が何かを嗅ぎ付けたため着いていくと、そこには短刀を手にした男と、刺された女が倒れていた。山野は手にした笛を吹く。
桜司郎は素早く刀を抜きながら、男の動向を見た。
「新撰組です。神妙にしなさい。……八十八君、倒れている人の確認をお願い。まだ息があるなら、集まった隊士と一緒に運んで頂戴」
「応!」
その隙に、山野が女の元へ駆け寄る。桜司郎は二人と男の間に身を滑り込ませた。炯々とした目付きと、隙の無い構えで男を牽制する。
「し、新撰組……。分かった、新撰組に敵うとは思っとらん……。はよ連れてっとくれやす」
男は直ぐにだらりと項垂れ、存外に抵抗をしなかった。それに驚きながら、桜司郎は捕縛用の縄を取り出すと男の方へ向かう。
「桜司郎ッ!!!こ、この女……!」
その時、倒れた女を確認している筈の山野から悲鳴に近い声が聞こえた。
「何?」
「間違いねえ、だ!」
「──え?」
桜司郎はそれに気を取られ、殺気を弱める。その上、男が未だに短刀を手から離していなかったことに気付いていなかった。 その瞬間である。男は不敵な笑みを浮かべて顔を上げた。
「アンタらが……アンタらが居らんかったら!!!この女は俺のモンやったんやッ!去ねェ、壬生狼ォ!」
──しまった!
男は短刀を構え直すと、桜司郎の懐へ飛び込んだ。何とか避けようと身体を逸らすも、距離が近すぎる上に気怠さのせいか躱しきれずに、切っ先が右脇腹を掠める。
「ぅグッ!」
唸るような声と共に、ぽたぽたと血痕が静かに散った。
「桜司郎ッ!!」
山野の声が聞こえたが、大丈夫だと返す。
焼け付くような久方ぶりのその感覚に顔を歪めながらも、男の手首を掴んでは捻り上げた。短刀が地面へ落ちるのを確認すると、自身の刀の柄で男の後頭部を殴る。
身体中の熱が傷口へ集まり、じわりと血液が体外へ出て行くのを感じながら、前のめりに倒れた男に馬乗りになった。そして手を後ろに交差する形で今度こそ縛り上げる。
そこへ山野が駆け寄ってきた。
「桜司郎、どこをやられた!?すまねえ、俺が声を掛けたばかりに……ッ」
「……違う、八十八君のせいじゃない。私が、油断していた……」
脇腹へ手を当てながら、男の上から退くと座り込む。目の前に落ちている短刀を拾い上げ、月光へ翳した。ぬらぬらと血に濡れたそれは、随分と手入れのされていない、切れ味の悪い錆のある
Posted by beckywong at 20:00│Comments(0)